WENの新たな発表

1期7年の時限だとしても、2サイクルやっているうちに、そこでやった人からノーベル賞をもらう人が出ます。
出たら「すごいな」とみんな思うんです。 いままでのシステムにいくら金を出してもむだは多い。
いちばんわかりやすいたとえで言えば、ドジャースからメッッに移ったNm。 Nmは日本のプロ野球で成功したんですが、「私は大リーグでやりたい。
私の一生はこれだ」と言って日本の野球をやめてしまった。 「やめて行くよ」と言ったら、彼が日本を発つとき成田にだれも行かなかったでしょう。
みんな内心「あいつが失敗するといいな」と思っていたわけです(笑)。 でもNmが成功すると、われもわれもと出かける。
テレビでもメジャーの野球を見せる。 日本はかわいいもんです。

◇Nノー・モア・リターンですね(笑)。 ◇Y10数年待たないといけないわけですね。
◇Aそんなに待たなくていいんです。 全部初めからやり出したら20年かかるかもしれませんが、Sf大学のメディカルセンターにCが来てから、バイオテクノロジーが生まれるまでには10年ですんだ。
Cが行くなら、J・r(1958年ノーベル生理学医学賞)もC・yも「自分もSf大学に行こう」と人が集まる。 環境ができたんです。
◇Y彼らがノーベル賞をもらったのは、Sf大学で仕事をやり出してからですね。 ◇NGベンチャー・イン・ガバメント構想にいちばん熱心なのは通産省と厚生省です。
通産省の場合は基盤技術研究促進センターでやっています。 これもHx研究所が1996年にできて、それが一応最後。
いままでは萌芽的な研究をやろうということでしたが、これからは芽が出てきたものでないと金を出さないということで、プロジェクト別に政府から資金が出ることになった。 それと同時に会社のプロジェクトにも出す。
要するに委託研究です。 厚生省の場合には医薬品機構があって医療関係のベンチャーが主体です。

通産省のほうは医療以外のプレ・インダストリー関係。 そのあたりは棲み分けなのでしょうね。
政府が金を握っているからやはり限界があるのですが、日本のベンチャーの場合には、政府がある程度は振興策をとっていかないと難しいでしょう。 給料を払うのが大変なんです。
◇A1968年ごろに、自分は必ず人とは違うことをやるというP・bのように個性的な人が、動物ウイルスをラムダ・ファージのように操作するという考え方を抱いた。 SV判ウイルスを制限酵素で切断してから、一挙に2〜3年で遺伝子工学体系が形成されたから、そのスピードは非常に速いわけです。
だから、何もないところから育成するのではなくて、ある程度の諸要素はすでにあるわけです。 ◇N「バイイング・タイム」という言葉があります。
「時間を買う」んです。 日本でベンチャーをやろうとするには、ある程度バイイング・タイム方式を導入しないと、100年待つなんていったら間に合わない。
そういうバイイング・タイム方式はどうするかということです。 ◇Kベンチャー・キャピタリストがいないということですか。
◇Nそうです。 Jc(旧・Ngファイナンス)やNk銀行は熱心ですが……。

それともう1つは、医療保険制度、社会保障制度から考えると、一人当たりの人的コストは給料の2倍は考えなくてはいけない。 そういうことが外国人を受け入れるときに問題になるんです。
◇K付加給付(本給以外の恩給、保険給付、年金など)という意味ですか。 ◇Nええ。
そういうことでいえば、企業の中におけるベンチャー・イン・インダストリーのほうがまだ可能性は高い。 大学の中におけるベンチャー・イン・ユニバーシティはもっと大変です。
たとえば、いまT大の「先端ベンチャー機関」をやってるでしょう。 そういう事例を1つひとつこれからやっていかなければならない。
その中で、A先生らが中心になってやっておられるAIMCSなどはいい例で、ベンチャーの3つの流れを共通して具体的にやっておられる。 ◇Yそういうことを考えると、産も官も基礎研究に対する投資規模がもっと大きくなる必要がある。
もっと大きくないと最終的にベンチャーを立ち上げるまでいかないのではないかという気がします。 特にバイオのベンチャーの起業には、「初めにサイエンスありき」であって、科学的ブレークスルーがないと何も起こらない。
日本ではベンチャー・イン・ユニバーシティがもっとしっかりしてこないと、バイオベンチャーの将来は明るくない。 そのためにも、基礎研究の支援体制と産学協力の仕組みづくりのために、もっと自由度がないといけない。
意思があってもやりづらいからですね。 ◇Nアメリカ式に大学の先生方がパテントも含めた研究のソースを持ち込んできてそれを具現化するのならいいのですが、日本の大学の先生方が実際のパテントを持ってそれをすぐにベンチャーとして立ち上げるという例は、ないとは言いませんが少ない。

だから日本的なベンチャーはなかなかできない。 もう1つ、いちばん大きなことは国家公務員法で「国家公務員は民間と癒着してはいけない」といういろいろな制限があり、これがいちばんのネックになっているんです。
それが今度の新科学技術基本法で、1年後ぐらいにはある程度緩やかな制度になってくるので、大学の先生方もベンチャーに直接参加できるようになる。 そうするとかなり変わってくるのではないかと思います。
いまは国家公務員法101条で厳しく制限されているので、たとえばA先生がアメリカ式にやろうとしても無理があるんです。 あと1年ぐらい経つと可能になります。
こうした話は、医療、バイオテクノロジー、ベンチャーについて意識的なターゲットには、非常に重要なものになると思いますね。 ◇Y通産・郵政共管のHx研究所は6年の期限付きで設立されたわけですけど、1年が経過してN先生はどのような感想をお持ちですか。
◇NHx研の意義は、ベンチャー・イン・ガバメントで、企業でもできなかったこと、大学でもできなかったことが、できるということです。 まず時間的な制限やテーマの制限があまりない。
自由度があるから発想も自由になり、いままで企業では制限があったDNAチップなんかもつくれるんです。 また、大学では設備、装置の問題でできない研究も、大学の規制から任期制を導入、国立研究機関等を若手研究者の登竜門として活用国の研究公務員等が民間で研究・指導を行う環境を整備欧米並みに博士号取得研究者を充実・強化する国立研究機関等で研究者一人に一人の研究支援者を確保国の研究公務員等への特許権個人帰属のための環境整備外国人研究者の受け入れ枠を340人から1000人へ拡充研究開発課題・機関・研究者への厳正な評価を実施公募等による競争的研究資金の大幅な拡充。
科学技術基本法の主要施策外れているHx研ならある程度の重装備を導入して研究ができるわけです。 いい制度だと思います。
◇Yある意味でいいハイブリッドですね。 ◇Nええ。

1年過ぎましたが、グローバルなパテントも特許庁に出し、いけるという自信がついてきました。 残念なことに通産省系のベンチャー・イン・ガバメントのプロジェクトは一応Hx研で終わりになるのですが、次のステップとして、Hx研で取得したパテントを生かす研究所、いわば第2、第3のHx研をつくることは可能です。